【後編】猫の妙術(ねこのみょうじゅつ)とは?老猫が語る剣術の極意とは?

猫の妙術

 

どーも、おがわです。

 

 

御所南道場から稽古あとに、地下から登ってくると、1本だけ桜の木があります。

 

すごく綺麗で稽古後、それを見るのがとても好きなのですが、

 

 

昨日の雨で散ってしまったかな・・・

 

 

 

しみじみ、「春はあけぼのたろう」を感じている今日この頃です。

 

 

 

そんな事は置いておいて、「猫の妙術」の紹介の後編をぼちぼち書いていきますね。

 

 

 

 

 

 

矢印

「猫の妙術(ねこのみょうじゅつ)」とは?

「猫の妙術」は江戸時代初期に関宿藩藩士であった佚斎樗山(いっさい ちょざん)が書いたお話です。

 

 

佚斎樗山が書いた「田舎荘子」の中に収められている一話になります。

 

 

ネズミ取りの達人である老猫が教えを説くという内容です。

 

 

剣術で大切な極地を、ネズミ取りに例えたコミカルな談話ですが、その内容は奥深く、剣術指南書として長く、多くの剣術家に愛読されてきました。

 

 

本来むつかしい内容を、ストーリーに落とし込んで、誰にでも読みやすく、理解しやすく書かれています。

 

 

 

 


矢印

「猫の妙術」おすすめの本

①新釈で読みやすい

②原文を読める


おがわ
   おがわ
同じ作者が書いた「天狗芸術論」。剣術者が深山で天狗に出会い、「武芸」の極意を教わるというお話です。猫の妙術と併せて読みたい一冊です。

矢印

『後編』新釈 猫の妙術の超ざっくり解説

「猫の妙術」の超ざっくり解説

 

勝軒(ショーケン)はその晩、武神と猫たちに、せめてものお礼として、うまい魚をふるまいました。

 

 

猫たちは、魚をたいらげた後、武神に質問しました。

 

 

自分たちの何が悪かったのかと。

 

 

 

それぞれがネズミ捕りの名手として、知られた猫たちです。

 

 

それに対して、武神は・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「喝だー!!!」 

 

 

 その様はまるで往年の大沢親分のようです。

 

 

その後、武神は少し穏やかな顔になり、

 

 

 

「おぬし達も、それなりにネズミを捕るようだが、本当の道理を知らない。

 

だから、自分の思ってもいない事に出会うと不覚を取るのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、道理じゃ。それではそれぞれにアドバイスをしてしんぜよう。」

 

 

 

 

 

矢印

喝① 技の見せかけは妄想と知れ!!

「技」の黒ネコ

 

黒ネコは確かに、ネズミを捕る技をたくさん知っている。

 

 

その技術も高いものがある。

 

 

しかし、ネズミの動きの千差万別・・・いくら技の数を増やしてみても、すべてに対応できるわけではない。

 

 

また、技への自信ゆえに、「ネズミを捕ろう」という心から自由になっていないのじゃ。

 

 

技は枝葉にすぎぬ。

 

 

 

技の裏にある「道理」を習得する事が大切なのじゃ。

 

 

先人が残した技は単純で簡潔なものが多い。

 

 

 

しかし、この単純、簡潔な技の中にこそ、無限の変化を可能とする道理が含まれている。

 

 

先人が伝えようとしているのは、この道理なのじゃ。

 

 

 

技を学ぶとは、その底にある道理をみにつけることなのじゃ。

 

 

 

 

 

  おがわ
  おがわ
合気道もただ技の数を覚えて満足するのではなく、その奥にある道理を学びたいものです。 なんの為に、型稽古を繰り返すのか、「道理」を身体にしみこませるためなのではないかと考えます。

喝②「浩然の気(こうぜんのき)」を身につけろ!!

「気迫」の虎ネコ

 

虎ネコは確かに、ほかを圧倒する気迫を持っている。

 

 

しかし、相手の方が、気迫で上回った場合、負けてしまう。

 

 

おぬしは、気の勢いにのっているに過ぎない。

 

 

そんなものは捨ててしまえ!!

 

 

道理にかなった気の出し方を覚えなさい。

 

 

孟子先生は、それを「浩然の気」と言われた。

 

 

これこそ本当の気の出し方だ。

 

 

浩然の気とは「天地にみなぎっている、万物の生命力や活力の源となる気」の事じゃ。

 

 

 

 

 

  おがわ
  おがわ
合気道の「氣」は「浩然の気」の事なのでしょうか?

 

 

 

 

浩然の気については、こちらのブログに詳しくまとめています。

 

 

ぜひ、併せて読んでみてくださいね。

 

 

喝③ 不自然な「念」! 道理をもたらす「感」!

「和合」の灰ネコ

 

灰ネコは確かに、ほかのネコより、経験が豊富なだけあり、和合の精神をもって、ネズミを捕っている。

 

 

しかし、でけーネズミには通用しなかった。

 

 

それがなぜか分かるかい?

 

 

それはおぬしが真の和合ができていないからじゃ。

 

 

道理に従って、和合をしているのではなく、和合をしようと作為しているからじゃ。

 

 

技には「念」から出るものと、「感」から出るものがある。

 

 

 

「念」・・・考えること

 

「感」・・・感じること

 

 

 

和合をしようと作為した「念」は不自然なもの

 

そうではなく、無心の「感」から出た自然な和合でなくてはならない。

 

 

 

真の和合は「感」から生ずるものじゃ。

 

 

 

 

 

  おがわ
  おがわ
和合しようとしたり、無心になろうとする事は「念」 稽古の中から学びとるという事が大切なのだと考えています。 それは「感」なのではないかなと・・・・たぶん

「道理」の純粋さを高めよ!

 

 

 

武神にそれぞれのダメなところを指摘された3匹のネコは、しゅんと落ち込んでしまいました。

 

 

武神は3匹の様子を見て、このように続けます。

 

 

「そう落ち込まんでもよい。おぬしらがしてきた今までの修練は無駄ではない。

 

 

道理と技が一貫したものじゃ。

 

 

真の技が道理から生まれるように

 

 

道理も技の修練から出てくるものなのじゃ。

 

 

おぬしらが今までしてきたことは、道理をつかむ過程じゃ。

 

 

そう・・・おぬしらは・・・・

 

 

 

 

 

あっぱれ

 

 

「あっぱれだ!!!」

 

 

 

その様はまるで、往年の張本勲のようです。

 

 

 

「不安がることはない・・・。

 

 

普段から技の修行に励んでおけば、道理もまたその分だけ心の内にははっきりあるもんじゃ。

 

 

どんな敵と相対しても、心の内の道理の声に耳をすまして、待てばよい。

 

 

待てば、勝手に『感』が働き、気がおぬしらを動かすじゃろ。

 

 

それで勝てぬときは、どうせ考えたところで勝てぬ。

 

 

あとは技の修行を通じて、心の内の曇りを取り除いていけばよい。」

 

 

 

その武神の言葉を聞いたショーケンは剣術の極意に通じると大きな気付きを得るのでした。

 

 

めでたし めでたし・・・

 

 

 

 

 

剣術 道理

 

 

余談ですが・・・

 

 

この道理の考え方は、中国の老荘思想に影響を受けているのではないと、今回ご紹介した「新釈 猫の妙術」には書かれています。

 

 

老荘思想では、自然の理を、道(TAO)と言いますが、これと武神のいう道理は近い意味なのだと思います。

 

 

 

 

 

■老荘思想を学ぶおすすめの本

  おがわ
  おがわ
飲茶さんの本は、上記の「史上最強の哲学入門」に限らず、読みやすく面白いです。おすすめです。

■老荘思想を学べる動画

  おがわ
  おがわ
老荘思想は天地自然と調和する合気道哲学に通じる部分があるように感じます。もう少し勉強したいと考えています。

矢印

「猫の妙術」は山岡鉄舟の秘密の愛読書♡

「猫の妙術」は山岡鉄舟の愛読書

 

 

江戸城無血開城に大きな貢献をし、剣の達人でもあった山岡鉄舟(やまおかてっしゅう)はこの猫の妙術を愛読していたそうです。

 

 

鉄舟は弟子に自分が持っている他の兵法書は、自由に読ませていました。

 

 

ただ、この「猫の妙術」は容易に人には見せなかったと言われています。

 

 

それが本当なら

 

 

あの我欲のない鉄舟がいけずをする程、老猫が教える「心」の教えが彼にとって重要なものだったのだと思います。

 

 

 

 

山岡鉄舟
  山岡鉄舟
猫の妙術だけはショナイ!(ないしょ!)

 

 

という感じだったのかもしれません・・・

 

 

 

 

◎山岡鉄舟のおすすめブログ

剣の達人「山岡鉄舟(やまおかてっしゅう)」とは何者??武士道の権化のような生き様
直弟子が語る人間「山岡鉄舟」~おれの師匠 山岡鉄舟先生正伝~とは?

矢印

トリビア その名も「猫の妙術杯」という剣道大会がある??

剣道 猫の妙術杯

 

千葉県の野田市には・・・

 

その名も・・・

 

 

「猫の妙術杯」という剣道大会がある・・・・

 

 

 

タモリ

 

千葉県野田市では、「猫の妙術」という剣道大会が行われています。

 

これは「96へぇ」は獲得できるトリビアです。

 

 

じつは「猫の妙術」の作者である佚斎樗山は関宿藩藩士でした。

 

関宿藩は現在の千葉県野田市にあたります。

 

 

以下は野田市のサイトからの引用になります。

 

 

現代では「猫の妙術」の古猫が教えるこの修行の段階が、武道を学ぶ上での心の持ち方、また一大事の行事に対する平常心の持ち方など、正しく的確な判断に極めて役立つと、武道愛好家のみならず一般の方にも通用する「心のあり方の書」として評価されています。

 

 

野田市に存在する有名な伝説を冠した「猫の妙術杯剣道大会」を開催することで、青少年を始め武道愛好家が良好な交流に努め、活気に満ちた魅力ある野田市に貢献しようとする大会です。

 

 

引用:野田市ホームページ

 

 

 

 

 

 

【蛇足】武道に関係するトリビア集

矢印

「猫の妙術」の感想

 

 

ネコの妙法に出てくる「技の黒ネコ」「気迫の虎ネコ」「和合の灰ネコ」の3匹は、私が稽古している合気道でも多くの人が陥りがちなケースに思えました。

 

 

現在の私は技の黒ネコに近いように思います。

 

 

 

「道理と技が一貫したものじゃ。

 

 

真の技が道理から生まれるように

 

 

道理も技の修練から出てくるものなのじゃ。」

 

 

 

武神が言うこの言葉を信じて、地道な稽古を繰り返しを大切にしたいと思います。

 

 

きっと、先人たちが伝えたい道理を習得できると信じて・・・・

 

 

 

↓前編はこちらをお読みください。

 

【前編】猫の妙術(ねこのみょうじゅつ)とは?五輪書と並ぶ大名作の武道書

 

猫の妙術
矢印

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コメント: 1
  • #1

    きじねこ (水曜日, 31 3月 2021 13:18)

    頭でっかちにならず、不遜にならず、謙虚に無心で精進していくことが肝心なのですね!
    とても良いお話でしたにゃあ(=^・^=)

    トリビアの泉、懐かしかったです^^