【後編】士魂商才「石田梅岩(いしだばいがん)」とは?名言と資本主義の精神

士魂商才「石田梅岩(いしだばいがん)」とは?道徳と経済の両立を説いた男

 

どうも、こんにちは

 

 

合気道合心館京都の小川です。

 

 

今回も、江戸時代の「ドラッカー」とも言われている石田梅岩(いしだばいがん)をご紹介いたします。

 

 

道徳と経済を両立する日本的経営の元祖と言われる人物です。

 

 

ちなみに、京都御所南道場の近くに、梅岩の学派である石門心学発祥の地の石碑がありますので、稽古帰りにでも見に行ってくださいね。

 

 

 

 

↑↑画像クリックで前編にとびます。
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「石田梅岩(いしだばいがん)」とは?

石田梅岩(1685~1744)
石田梅岩(1685~1744)

 

石田梅岩は江戸中期を代表する思想家で、石門(せきもん)心学の創始者です。

 

 

11歳で京都に出て、丁稚奉公(でっちぼうこう)して以来、長く商人として働きます。

 

 

梅岩は小さな頃から、求道的な性格の持ち主でした。

 

 

商人として働きながら、同時に独学で神儒仏の諸思想を研究し、人の生きる道を探求し続けました。

 

 

35歳頃に独学してきた思想に迷いが出てきます。

 

 

答えを求めて師匠を探すうちに、儒仏に通じた小栗了雲(おぐりりょううん)に巡り会い、さらに修行にはげみます。

 

 

40歳のときに、いったん開悟しましたが、さらに1年あまりの修行つみ自性見識を離れた境地に達しました。

 

 

そして、43歳で商売から引退をして、45歳の1729年より京都市の自宅で、自身の思想を教える受講無料の塾を開きます。

 

 

はじめは塾生も少なかったが、その教えの深遠さと梅岩の誠実な人柄と相まって庶民の間に広まっていきます。

 

 

石田梅岩の教えは「石門心学」と言われ、弟子の手島堵庵(てじまとあん)らの布教活動によって各地に広まり、近世思想界に大きな影響を与えました。

 

 

石門心学を教える心学講舎は最盛期にも全国に173カ所あったそうです。

 

 

 

 

おがわ
おがわ
石田梅岩の労働観に影響を与えた鈴木正三(すずきしょうさん)とういうお坊さんがいます。正三は働く事が仏教の修行になるという「労働即仏道」と唱えました。

■都鄙問答(とひもんどう)

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『都鄙問答』は松下幸之助氏が座右の書とし、「経営や仕事に行き詰まったら読みなはれ」と他の人にも勧めていたといいます。

 

 

また、京セラ創業者の稲盛和夫氏も「石田梅岩が私に与えてくれたものは計り知れない」と述べ、福沢諭吉や渋沢栄一にも大きな影響を与えています。

 

 

しかし『都鄙問答』は原文が難解で、現代人に読まれる機会は限られていました。

 

 

本書は史上二冊目となる全文現代語訳。

 

 

江戸期、石門心学の創設者・石田梅岩が門弟や士農工商の枠を超え、多くの人と交わした問答が収録されています。

 

 

「人はなぜ祈るのか」「人の性は善か悪か」といった根源的な問いに始まり、商人の心得、読書の仕方、息子を医者にと考えている親への助言など、そのやりとりは示唆に富みます。

 

 

不正な手段で儲けることを厳しく戒め、「正直な商人道」を貫くようにと説いたその教えは「日本のCSR(企業の社会的責任)の原点」として、今日高く評価されています。

 

 

企業のあり方が問われる現代こそ、『都鄙問答』の精神を学び直す絶好の機会と言えるでしょう。

 

 

引用:Amazon

 

 

 

 


おがわ
おがわ
一般的に「都鄙問答」は松下幸之助の愛読書とされてきました。しかし、一方では松下幸之助は「都鄙問答」を読んだことがなく、石田梅岩の名前も知らなかったという説もあります。しかしいずれにせよ、日本人の商売の考え方の根底に石田梅岩があるので、直接にせよ、間接にせよ松下幸之助は石田梅岩より影響を受けていると考えて良いと思います。

石田梅岩の名言

 

それでは、石田梅岩の名言をいくつか紹介をしたいと思います。

 

 

現代でも十分通じる普遍的な教えになります。

 

 

 

 

①真の商人とは

石田梅岩
石田梅岩
「真の商人は先も立ち、我も立つことを思うなり」

 

本当の商人は、仕入先、お客様に喜んでいただいて、自分にとっても嬉しい事を考えるという意味です。

 

 

近江商人の三方よし(売り手によし、買い手によし、世間によし)にも近い考え方です。

 

 

梅岩は他にもこのようなことを言っています。

 

 

「商人も是を知らば、我が道は明らかなり。我が身を養わるる売り先を粗末にせずして真実にすれば、十が八つは売り先の心にかなうものなり」

 

 

「此正直が行われれば、世間一同に和合し、四海の中皆兄弟のごとし」

 

 

 

②商売で儲けることは

石田梅岩
石田梅岩
「商人の売買の儲けは、武士の俸禄と同じ。儲けのないのは、武士が俸禄を受けずに出仕するようなものだ。」

 

商売での儲けは、武士の給料と同じ、商売で儲けを出さない事は武士が給料なしで勤めるのと同じ、決して卑しい事ではないという意味です。

 

 

「士農工商」の身分制度で、商人は一番下です。

 

 

何も生産しない商売は卑しい仕事とみられていた時代に、梅岩は商人道を唱え、正しく利益を取ることは正しい事だと言いました。

 

 

梅岩は他にもこのようなことを言っています。

 

 

「商人で道を知らない者は、ただ貪ることだけをして家を滅ぼす。商人の道を知れば、欲心から離れ、仁心で努力するので、道にかなって栄えることができるだろう。これが学問の徳というものである。」

 

 

「商人は、左の物を右へ取り渡しても、正直に利益を取る。不正をして取るのではない。鏡に物をうつすように、隠しだてすることはない。商人は、正直に利益を取ることによってなりたち、正直に利益を取るのは商人の正直である。利益をとらなければ、商の道ではない。」

 

 

 「商人がお殿様から御用を仰せ付けられた場合も、きちんと利益分もくださっている。つまり、商人が得る利益というのは、お殿様の許しを得た俸禄のようなものなのだ」

 

 

 

③お客様第一主義

石田梅岩
石田梅岩
「売り先の心にかなうように商売に情を入れ勤めなば、渡世になんぞ案ずることの有るべき。」

 

商売を通じて、お客様に喜んでいただけること考えれば、商売を続けていくことに何を心配する事があるのかという意味です。

 

 

現代のお客様第一主義に通じる考え方です。

 

 

 

梅岩は他にもこのようなことを言っています。

 

 

「商人は、国の法をよく守り、わが身をよく慎まなければならない。商人といえども、人としての道を知らずに金儲けをし、しかも不義の金を儲けるようなことがあっては、やがては子孫が絶える結果を招きかねない」

 

 

 

「心底から子々孫々を愛する気持ちがあるなら、まず人としての正しい道を学んで家業が栄えるようにすべきであろう」

 

 

 

④富は天下の物

石田梅岩
石田梅岩
「富の主は天下の人々なり。」

 

梅岩は富は天下のもので、私物化するものではなく、天下の預かり物という思想を持っていました。

 

 

なので、なるべく倹約(経費を抑え)するように努める事が商人道だと言います。

 

 

すこし、前後も含めて、本分を紹介しますね。

 

 

「富の主は天下の人々である。その主の心は我々商人と同じであるから、お金を出すときには一銭でも、もったいないと思うに違いない。その気持ちを推し量って、売る商品、サービスには念を入れ、うっかりした過ちで相手に迷惑をかけることのないように注意して売り渡すならば、買うお客さまも、はじめはお金がもったいないと思うだろうが、その商品の良さを認めれば、そのお金を惜しむ気持も消えるに違いない。

その上、第一に倹約に努め、これまで一貫目使っていた費用も、700目で済まして節約し、これまで一貫目得ていた利益も、900目で抑えるように努力する。これが商人の心がけである。」

 

 

 

 

⑤倹約について

石田梅岩
石田梅岩
「世を治る道は、倹約を本とす」

 

世の中をよくするには、「倹約」が大切だという事です。

 

 

私たちは「倹約」と聞くと、ケチだという印象を受けますが、梅岩のいう「倹約」は少しニュアンスが違います。

 

自分のためにお金をケチるという意味ではなく、「物の効用を尽くす(※)」ことです。

 

(※)物を簡単に捨てずに大切に使い切る。

 

梅岩は「世界に三つ要る物を二つにてすむようにするを倹約と言う」とも言っています。

 

 

MOTTAINAI(もったいない)に近い意味だと思います。

 

 

今、最も必要とされている持続可能な開発目標につながる考え方になります。

 

 

また、倹約をすることにより、人間が本来もっている「正直」という徳を取り戻すことができると梅岩は説いています。

 

 

世の中のためにも、自分のためにもなるのが倹約なのです。

 

 

梅岩は他にもこのようなことを言っています。

 

 

 

「我がいう所は正直よりなす倹約なれば、ひとを 助くるにいたる」

 

 

「世界に三つ要る物を二つにてすむようにするを倹約と言う」

 

 

 

 

なぜ西洋以外では日本だけがいち早く資本主義が発展したのか?

 

マックスウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」という長くて難しい題名の本があります。

 

 

題名が長いので、「プロ倫」とか呼ばれています。

 

 

この本はヨーロッパにおいて、「カトリック」や「ギリシャ正教会」よりも「プロテスタント」を信仰する国々が経済発展をするのはなぜか?を解説したものになります。

 

 

 

それまでのカトリック教会は協会に寄付をすれば、天国に行けると免罪符を売り出していました。

 

 

それをカトリック協会の腐敗だとしてルターとカルヴァンは宗教改革をおこし、新しくできたのがプロテスタントです。

 

 

 

プロテスタントは天国に行けるかはあらかじま決まっているという「予定説」を唱えました。

 

 

寄付をしたから天国にいけるというものではないと・・・。

 

 

 

■プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

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『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は、ドイツの社会学者マックス・ヴェーバーによって1904年から1905年に著された論文。

 

 

大学教育現場などでは『プロ倫』と略する。

 

 

プロテスタントの世俗内禁欲が資本主義の「精神」に適合性を持っていたという、逆説的な論理を提出し、近代資本主義の成立を論じた。

 

 

引用:Wikipedia

 

 


 

 

 

なので、プロテスタントは自分が天国に行ける予定か地獄にいく予定が分からないので、不安でしかたありませんでした。

 

 

 

 

カルヴァンは職業を神から与えられた天職だと考えましたので、プロテスタントの人々は自分の仕事を天職だと思いたくて、一生懸命に働きました。

 

 

 

「プロ倫」の中でプロテスタントの国が経済発展するのは、プロテスタントは職業を天職と捉え、神様からの使命を果たすために懸命に働くことが要因だとしています。

 

 

 

 

 

  

 

※こちらの解説サイトが分かりやすいです↓↓

 

5分でわかるウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(プロ倫)」要約

 

 

 

 

 

日本における資本主義の精神は「石門心学」

資本主義アゲアゲ⤴⤴イメージ図
資本主義アゲアゲ⤴⤴イメージ図(クリック拡大)

 

西洋以外では、他の諸国に先駆けて日本だけ資本主義が発展しました。

 

 

 

アメリカの社会学者ロバート・ベラーはその著書「徳川時代の宗教」の中で、日本には石門心学の「勤労」の精神ががあったからではないかと推測しています。

 

 

 石田梅岩は人は苦労しながらも、勤勉に仕事をすれば「心は安楽になる」と説いています。

 

 

 

 

おがわ
おがわ
金銭だけを目的に仕事をするのと違い、プロテスタンティズムや石門心学も仕事を「天職」として、前向きにとらえています。生涯、勤労につとめるので、資本主義は発展していくのだと思います。

■徳川時代の宗教

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 西洋以外の国で、ただひとつ日本が近代化に成功したのは何故か――

 

 

アメリカの社会学者ロバート・ベラーが、徳川時代の文化的伝統、とりわけてその宗教のになった役割を、ウェーバーの流れをくむ師パーソンズの近代化論の方法で考察する。

 

 

欧米人のすぐれた日本論として逸すべからざる著作。原書は1957年刊。

 

 

引用:Amazon

 

 

 


石田梅岩を知る為のおすすめ動画

 

「魂の商人 石田梅岩が語ったこと」の作者である山岡正義先生のYoutube動画を貼り付けております。

 

 

石田梅岩の思想を分かりやすく解説してくれています。

 

 

ぜひ、見てみてくださいね。。

 

 

序章~第3章

<序章>石田梅岩の生きた時代

<第1回>まことの商人道とは

<第2回>勤勉こそ心の安らぎ

<第3回>お客さま満足度・・・

     富の主は天下の人々なり~

 

第4章~第9章

<第4回>天命に通う生き方とは

<第5回>利益の正当性 何のためのお金儲けか

<第6回>共生の思想 先も立ち、我も立つ

<第7回>法令遵守と持続可能性

<第8回>心をつくして性を知る

<第9回>諸教は心の磨種


10章~13章

14章~15章


<第10回>正直こそが富をもたらす

<第11回>人間はお互いに助け合うもの

<第12回>和と協力 ~暖簾の尊重~

<第13回>ボランティア精神・・・

     他社への奉仕と生きがい~

<第14回>倹約と正直・・・

     生来の人間の心に返れ~

<第15回>倹約と愛情・・・

     自分のためより世界のため~


■魂の商人 石田梅岩が語ったこと

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ドラッカーより250年も早く「経営」の本質を説き、マックス・ウェーバーより200年も早く「経済倫理」をうたった〝魂の商人〟が江戸時代にいた!

 

 

身分制度が厳然と定められていた江戸時代にあって、商人が利益を得るのはなんら恥ずべきことではない。

 

 

そこには「道」がある、と説いた石田梅岩。

 

 

「正直、勤勉、倹約、自立」という「人としていかにあるべきか」こそがもっとも大切であるとする「商人道」を広め、その教えはやがて「石門心学」として日本全国に広がっていきます。

 

 

〝経営のカリスマ〟稲盛和夫氏も石田梅岩の説いた「利を求むるに道あり」を自らの哲学のひとつとして説いています。

 

 

「日本型経営の元祖」として、現代の経営者やビジネスマンが、いま熱い視線を向ける石田梅岩のすべてをくわしく、わかりやすく説いた、渾身の一冊、ついに刊行!

 

 

引用:Amazon

 

 


石田梅岩の石門心学の発祥の地は御所南道場の近く

石門心学発祥之地(画像クリックで拡大)
石門心学発祥之地(画像クリックで拡大)

 

じつは石田梅岩ははじめに自分の思想を教えはじめた場所は、烏丸御池駅から少し北に行った場所にあります。

 

 

石門心学発祥之地」という石碑が立っています。

 

 

合気道合心館京都の御所南道場の近くです。

 

 

稽古の帰りに見に行ってみてください。

 

 

 

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